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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)843号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人堀耕作の上告理由について。

論旨は違憲をいう点もあるが、その実質は所有権移転登記義務の有無に関し、民法及び不動産登記法の解釈適用を争うに帰着する。ところで、不動産の登記簿上の所有名義人は真正の所有者に対しその所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求を為し得るものと解するのが相当である。(大審院昭和一六年六月二〇日言渡判決、民集二〇巻八八八頁参照)。従つて原判決が、上告人は被上告人に対し本件不動産の所有権移転登記手続をしなければならない、とした第一審判決を維持したのは正当である。論旨は独自の見解に立脚するものであつて理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官の全員一致を以て、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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